イーサネット入門
-
-
コンピュータネットワークの必要性
プログラムがなければ、計算機はただの箱といわれました。最近では、ネットワークでつなげなければ、計算機はただの箱ともいわれるようになりました。ここでは、コンピュータネットワークの仕組み、接続方法、応用の仕方を紹介していきます。
-
コンピュータネットワークの特徴
コンピュータネットワークの特徴や利便性を列挙してみます。
○直接接続していない機器を利用できる
○直接接続していないディスクのファイルを利用できる
○短時間で電子メールを送ることが出来る
○webなどを利用して世界の情報を安く、簡単に取得できる
○携帯電話などと連携して移動体からの情報交換ができる
○webを利用して、個人的な情報を公開できる
○.....
-
LANとWAN
一つのフロアとかそれほど大きくない建物内部で構成されるネットワークをLAN(Local Area Network)といいます。建物間など遠距離を接続するネットワークをWAN(Wide
Area Net Work)といいます。LANとWANのはっきりした区別はありませんが、多くの、LANはイーサケーブルで接続し、高速なWANは光ケーブルで接続します。電話線を利用したネットワークもWANの仲間とします。
ここでは主にLANについて紹介します。
-
-
ネットワークアダプタ(NIC)
- デスクトップパソコンとネットワークアダプタ
デスクトップは机の上に置かれる(簡単にはもち運びできない)計算機の意味です。このパソコンにLANを接続するには、ネットワーク用のPCIカードを利用します。このカードはパソコンのPCIスロットに差し込みます。
カードのほとんどの処理はIC(集積素子)で行われるため、部品数が少なく、非常に安価なカードになっています(千円ー2千円)。このカードのソケットにケーブルを差し込むだけで、接続は完了します。
- ノートパソコンとPCカード
ノートパソコンの場合PCカードで接続します。PCカードは薄いので、いったん小さなコネクタでPCカードから引き出し、標準のコネクタに接続します。
- アダプタ(NIC)
NICはネットワークインタフェースカードの意味ですが、LANアダプタ、LANカード、、LANボード、ネットワークカードなどとも呼ばれます。
-
イーサケーブルとコネクタ
- ケーブル
現在、LANは多くの場合イーサケーブルで物理的に接続し、インターネットを利用する場合TCP/IPプロトコル(情報を送信/受信するときの約束)で情報を伝送します。現在イーサ方式では送信用と受信用に対線(お互いねじり合わされたケーブル)を利用します。対線をツイストペア(撚り線)ケーブルともいいます。多くの場合、対線が4本入ったケーブルを利用します。各線には色がついていますが、使用する色に関するルールはありません。
- コネクタ
コネクタはRJ-45と呼ばれるプラスチックコネクタを利用します。このコネクタにケーブルを挿入し、圧着工具で締めることで、結線できます。コネクタは8ピンですが、このうち、1,2,3,6ピンの4本のみを利用します。1,2と3,6が対線になりますから、コネクタの直前までねじり合わせておきます。
- コネクタと接続
- 圧着
圧着は櫛歯状のコネクタに絶縁された信号線を押しつけ、絶縁層を櫛歯で突き破りコネクタを信号線に接触させる方式です。一度に50本以上の信号線を圧着することもできます。
-
対線と差動回路
- 差動回路
LANで利用される信号は差動方式で2本の信号の電圧の差で情報を運びます。2本のケーブルの電気的な条件は全く同じであれば、ケーブルに入った雑音信号は入力回路で差をとるためキャンセルして消えてしまいます。
- 音声ケーブル
家庭でよく利用される音声やビデオ信号の場合も2本の線で接続されますが、1本のケーブルがグランド(0V:ボルト)で、他方の信号線の電圧が変化します。このため、2本の信号線の電気的な条件が異なるため、外部からの雑音によって誘起される雑音のレベルが異なり、雑音はキャンセルできません。
-
-
組み込み方法
- デスクトップの場合
PCIカードを挿入する
電源を切ってからカバーを開きPCIカードを挿入します。カードをネジで固定します。
PCを立ち上げると、OSが新しい機器の接続を検知して、ドライバーソフトの組み込みを要求されます。PCIカードに付属しているFDD(フロッピーディスク)から、ドライバーソフトを読み込みます。
- ノートブックの場合
LAN端子がない場合、PCカードを利用します。最初にPCカードを挿入するとき、ドライバを組み込むメッセージが表示されます。
-
IPアドレスの設定
設定方法の詳細は使用するOSで異なります。ここでは、主に、windowNT/2Kを例に説明し、必要に応じてwindow95,98系での利用方法を紹介します。
- IPアドレス
IPアドレスは後で詳しく説明しますが、ここでは、ネットワークでアダプタを識別する番号と考えてください。IPアドレスは、255までの4桁の整数で指定します。
- 例
IP番号を勝手につけてインターネットに接続することは厳禁です。インターネットに接続できる同じIP番号の機器は1台のみです。ここでは、インターネットでは利用できない(インターネットでは利用しない)プライベートIPアドレスを利用します。
- 設定方法
ネットワークアイコンを右クリックしてプロパティより、インターネット(TCP/IP)を選択しIPアドレスの設定ウインドウを表示し(window2Kではローカル接続、プロパティのメニュー)、IPアドレスとサブネットマスクを設定します。
ここでは、IPアドレスを
192.168.1.1(第1グループ)、192.168.1.2(第2グループ)
サブネットマスクを
255.255.255.0
とします。この意味は、後で詳しく説明します。
- IPアドレスの設定
- その他の項目
ゲートウエイやDNSはLANに接続するだけなら設定不要です。WAN(インターネット)に接続するには必要な項目です。
-
- 2台のパソコンを接続する
2台のパソコン(PC)のカードを直接ケーブルで接続できます。ただし、一方のPCの送信側の対線を他方のPCの受信側に接続する必要があります。このように、送信と受信側を入れ替えて接続したケーブルをクロスケーブルといいます。
- クロスとストレートケーブル
多くの場合、PC間はハブを通して接続します。PC間を直接接続するには、送信と受信を入れ替えたクロスケーブルが必要ですが、通常利用するケーブルはクロスケーブルではありません。
- 結線図
- 直接接続できない場合もある
アダプタには通信速度が10Mと100Mbpsの2種があり、ハブを経由しないで直接アダプタ間を接続できない場合もあります。
-
接続確認
- カードのランプ
ネットワークカードには通常ランプがあり、物理的に正常に接続された場合、緑色のランプが点灯します。PCカードの場合ハブ(後述)に接続し、ハブのランプで確認します。
- pingコマンド
指定したIPのマシンが生きているかどうかを確認するのによく利用するツールです。また、往復時間もわかりますから、ネットワークの遅延時間を調べることもできます。ping(ピン)コマンドはコマンドプロンプト(コマンド実行用ウインドウ)から、次のようにコマンドを入力します。pingの後の数字が接続した相手のアダプタのIP番号です。
- pingコマンド
L:\>ping 192.168.2.11
Pinging 192.168.2.11 with 32 bytes of data:
Reply from 192.168.2.11: bytes=32 time=10ms TTL=128
Reply from 192.168.2.11: bytes=32 time<10ms TTL=128
Reply from 192.168.2.11: bytes=32 time<10ms TTL=128
Reply from 192.168.2.11: bytes=32 time<10ms TTL=128
Ping statistics for 192.168.2.11:
Packets: Sent = 4, Received = 4, Lost = 0 (0% loss),
Approximate round trip times in milli-seconds:
Minimum = 0ms, Maximum = 10ms, Average = 2ms
-
ハブを利用する
- ハブ
複数のPC間を接続するにはハブを利用します。ハブは複数のコネクタを接続するため複数の接続口を持ちます。同じハブに接続したPC間は同じLANに接続されることになります。
- ハブの例
- 2種類のハブがある
ハブにも2種類あります。簡単なハブは各送信と受信の信号を単純に接続するだけです。したがって、同時にネットワークを利用できるのは1対のアダプタだけです。この種のハブをリピータハブと言います。一方、送信先により二つのアダプタ間を選択して接続するハブもあります。この場合、複数の対が同時に送信・受信をすることもできます。この種のハブをスイッチングハブといいます。ここでは、リピータハブを利用します。
- 接続
ハブのコネクタは送信と受信を入れ替えて接続していますから、送信と受信を同じコネクタの端子に接続したストレートケーブルで接続します。ハブの一番右の口以外の口にストレートケーブルで接続します。同じケーブルで接続したPC間でpingコマンドで接続を確認します。
- ハブ間の接続
次にハブの一番右(x4またはx8)の端子を別の(上位の)ハブに接続します。このとき、下位のハブのx4またはx8の切り替えスイッチをアップリンク側に設定します。これは、下位のハブと上位のハブをクロスして(送信と受信端子を入れ替える)接続するためです。スイッチをアップリンクにしないで、クロスケーブルで接続しても接続できます。
-
-
ファイル共有の仕組み
ネットワークを利用してファイルを共有することができます。共有宣言されたファイルやフォルダは、ネットワークを利用して読み/書きが可能になります。windowsのファイルサービスを利用するには、共有サービスを組み込んでおく必要があります。
win2kの場合、ネットワークのプロパティから、ローカルエリア接続プロパティのウインドウを出し、インストールから共有サービスを組み込むことができます。
- ローカルエリア接続プロパティ
-
ファイル共有の設定
ファイル共有が組込まれている場合、ドライブやフォルダのプロパティから共有を設定することができます。また、winNTではアクセス許可、win95/98では「読み出しのみか・書き込み(削除)も許すか」等の設定をします。
- ドライブのプロパティ
-
共有ファイルの利用
- 共有PCを探す
ファイルを共有したいPCがエクスプローラで表示されない場合、マイネットワークを右クリックしてコンピュータの検索メニューを出します。相手のIPアドレスを指定して検索をします。検索できたら、そのアイコンをダブルクリックすると、共有しているドライブやファイル名が表示されます。このとき、現在ログインしているPCのアカウントが共有するPCに登録されていない場合、ログインが求められる場合があります。ログイン操作をしていない95/98からNT/2Kにはアクセスできません。
- 検索ウインドウ
- 共有ファイルを利用する
ファイルの利用法はローカルなファイルの利用方法と同じです。
- ファイル共有の手法はTCP/IPではない
ファイル共有には物理的にはイーサネットワーク(イーサ用のネットワークアダプタとケーブル)を利用しますが、ファイル共有の手法はこの講義で紹介するTCP/IPの標準的なプロトコルではありません。
-
まとめ
- イーケーブル
より線に雑音を相殺する秘密がある
圧着はすごい発明の例だ
- アダプタ
ネットワークを接続する回路のこと
PCI、PCカード、NICtpも呼ばれる
- 接続の確認
クロスとストレート接続があり
pingコマンドで確認できる
- ハブ
レピータハブを介して複数台のPCを接続できる
- ファイル共有
イーサネットで他のwindowsPCのファイルを共有できる。
- 課題
- イーサネットの起源
イーサネットはいつ頃、どんなグループで、何の目的のために開発したのか、ホームページで調べなさい。
- 変なケーブル
イーサケーブルが足りなくなったので、別の場所のハブで使用中のケーブルAをはずして利用したが、うまく接続できない。でも、前の位置に戻せばでは正常に動作する。原因はこのケーブルにあるのだが、どうしてだろう。原因を説明しなさい。
トップに戻る