表の計算

表へのデータ入力だけならワードでもできます。エクセルの特徴の一つは、特別なプログラムなしで計算ができることです。

  1. 数字の計算

    1. 式の挿入

       表の項目は列と行の番号で指定します。下の図で、A2 の値は 12 です。ここで、C2に =A2*B2 と入力します。ここで、*は「掛け算」の意味です。先頭の = が、データの入力でなく、「式」の入力であることを意味します。すると、入力する文字は、=A2*B2ですが、表示は A2 と B2 を掛けた値(276)になっています。つまり、 = で始まる 「式」 を入力すると、「計算」 した値が表示されるのです。
      A2 などの 「セル」の番号を直接入力する替わりに、A2 の「セル」をクリックする方法もあります。


       A2 や B2 の値を変更すると、即座に 計算した値も変化します。掛け算以外に、+ − *(乗算) /(除算) が利用でき、(A2 + 10) * B2 のように括弧も利用できます。式を変更すれば、すぐに表示される値も変化します。

    2. 式のコピー(相対指定)

       もう一つ「すごい」ことは、式がコピーできることです。上の例で、データの連続入力の要領で C2 を選択後、枠の右下の四角をC4までドラッグします。すると、式がコピーされ、各行の計算ができます。式を見ると、3行の式は =A3*B3 になっています。コピーするとき、セルの番号が自動的に変化しています。セルの番号が自動的に増えているところが「すごい」ですね。

    3. 総計を求める

       さらに総計を求めることも簡単です。C5 を選択し、数式タブから ΣオートSUMをクリックします。メニューで 「合計」選びます。すると、C5 にC列の合計が計算されます。B2 や A4 の値を変更すると、合計の値もすぐに更新されます。


       C5 の内容は =SUM(C2:C4) となっています。これは、「C2 から C4 までを合計(SUM)しなさい」、の意味です。

    4. 変化しないコピー(絶対指定)

       しかし、機械的に変化しては困る数式もあります。「売り上げの割合」を計算する場合を考えます。2行目の割合:D2は = C2*100/C5 です。これを C4 までコピーすると、ちょっとおかしいことになります。
       調べると、D3 は C2 と C5 が自動的に増加し =C3*100/C6 になっています。C6 は数字がないので 0 の扱いになり、0でわり算すると DIV/0 (0で割った!)のエラー(誤り)になります。

       
       
       この場合、式 = D2*100/C6 を = D2*100/C$6 にすると解決します。$ はコピーするとき変更しないことを指示する記号です。


       このように、$がついているセルの指定を絶対指定と呼びます。絶対指定されたセルの番号はコピーしても変化しません。

  2. 関数を利用する

    1. 関数

       エクセルではいろんな分野で、「関数」が利用できます。たとえば、最大値、データの個数(オートSUM)、利息計算(財務)、文字の結合(文字列操作)、時間や日数の計算(日付)、三角関数(数学)、偏差値(その他、統計)、などです。関数の一覧は、数式タブの「関数ライブラリー」で知ることができます。
       たとえば、=AVERAGE(A2:A5) は A2からA5の範囲の平均値を計算する関数です。

    2. 関数式の挿入

       「セル」に「関数」を挿入するには、関数を置きたい「セル」を指定し、数式タブから「関数」を選択します。下のようにデータを用意し、G1 を選択して、オートSUM から 「平均」をクリックします。

       エクセルは「左のすべての数値の平均」と考え、B1:F1 の範囲を選択し、AVERAGE(平均)関数を作成します。この範囲で良ければ、enterキーをおします。


       G1 に平均値(31.4)が表示されます。範囲を変更するには、 範囲 B1:F1 を直接変更するか、マウスで範囲を選択します。

    3. 財務関数

       ローンの返済計画を立ててみます。借入金を1千万、このうち3百万は別にボーナスで払うものとします。 PMT(利率(月当たり)、期間(月数)、借入金) で、毎月の支払額が計算できます。
       A2に年利を入れます。月当たりの利息は B2/100/12 となります。A3 に返済年数(20年)、A4 に借入金、A5 にボーナス(年2回)で支払う額を入力します。
       毎月の支払い額 D2 は =PMT(B2/100/12,B3*12,B4-B5)
       ボーナスからの支払い D3 は =PMT(B2/100/2,B3*2,B5)
      となります。総支払額 D4 は =D2*B3*12+D3*B3*2
      です。ボーナス月の支払いは D2+D3 になります。



    4. 日付、年齢

       2005/5/24 の形式で日付(誕生日など)を入力できます。また、H10.1.1 の形式も利用できます。二つの日付の年の差は
       =DATEDIF(B1,A1,"y")
      で計算できます(この関数は「関数ライブラリー」のメニューにはありません)。また、今日の日付は =TODAY() で入力できます。
       これを利用して、今日の日付の年齢を計算できます。C1 に =TODAY() を入力します。これで、今日の日付が表示されます。
       A2から 誕生日を入力します。西暦または和暦で入力します。B2 に  =DATEDIF(A2,C$1,"Y") を入力します。 セルの番号を変化させないため、C1 には $ が必要です。この式をコピーすると、年齢が表示されます。



      年齢の値から、「60歳以上の人数」を調べてみます。これには
        COUNTIF(範囲、条件)
      関数(その他:統計)を利用します。条件は ">60" で「60以上」の意味になります。
      B6 に =COUNTIF(B2:B5,">60") を入力すると、60歳以上の人数が表示できます。
       なお、年齢の表示形式を揃えるには、「ホーム」タグで、中央の「数値」の下の▼をクリックし、「表示形式」のダイアログで「標準」の横の▼をクリックします。ここで、「長い日付」か「短い日付」を選択すると、表示を統一できます。

    5. 時刻

       時刻も 9:5 の形式で入力すると、9時間5分 の時刻として扱われます。二つの時刻の差の計算もできます。時刻は内部では、1日を 0〜1.0 の値(シリアル値)で記憶しています。時間の差から、たとえば時給を計算するには、時刻のセルに 24倍*時給 を掛けてやれば計算できます。D2 のセルは =C2*24*D$1 とします。この計算は標準では小数点の値になりますから、「ホームタブ」の「数値」で表示形式を 「会計」にすると、小数点以下が4捨5入されます。



    6. 数学・統計関数

       数学・三角関数には、数学のほとんどすべての初等関数がすべて含まれます。また、統計には多くの分布関数が含まれます。以下に、一部のみを示します。

      数学 統計
      cos 三角関数 Average 平均
      sin 三角関数 Var 分散
      log10 対数(底が10) count データ数
      sqrt 平方根 NormDist 正規分布
      power べき乗 Max 最大
      round 整数に丸める Min 最小
      Combin nCk BinomiDist 二項分布

    7. 度数分布(関数配列)

       度数分布を調べる場合、freqeency()関数の配列を利用します。データ列(G)の値の度数(頻度)を調べるものとします。調べたい度数の表をI列に作成します。度数分布は、=FREQUENCY(G2:G8,I2:I5) で求めることができます。結果の欄のJ2〜J5 を選択し、関数を入力してから、Ctrl+Shift+Enter を押します。これが、関数配列の入力法になります。修正する場合は、すべての関数を選択してから修正し、Ctrl+Shift+Enterで確定します。
      データが0~100で、度数が10単位の場合、度数までの値の数が求まります。



    8. 他の表の参照

       別の表の値を参照できます。下のように価格表を作成しておきます。納品表を作成するとき、単価の列には、
           =VLOOKUP(B49,B43:C45,2,FALSE)
      と、参照関数を設定します。ここで、B49は参照するキーの名前でこの場合下の表の「りんご」です。B43:C45 は参照する表の範囲で、参照するものは一番左に書きます。次の 2 は、表から取り出す値の番号で、これは、参照する表の内部の列番号です。



       納品表の単価にこの VLOOKUP を入れておけば、名前を入れると単価が自動的に入力されます。