動画ファイルの処理

  1. 動画ファイルの基本


    1. フレームレート


       動画は絵をぱらぱらめくることで、実現しています。1秒間に送る絵の数をフレームレートといいます。テレビなら1秒間に30枚、映画なら24枚です。

    2. 圧縮とコーデック


       1秒間に何枚もの絵をそのまま送ると、膨大な情報量になります。そこで、前の画像との差だけを送るといった、さまざまな圧縮法が考案されました。この、圧縮法をコーデックといいます。圧縮後、再生するのに必要なビット数をビットレートといいます。単位はbps(bit per second)となります。同じ圧縮法ならビットレートが高いほど高画質になります。

    3. 動画ファイルの形式


       動画ファイルの形式はいろいろありますが、国際規格はMPEGで規格されています。DVDはMPEG画像に他の情報を付加した形式ですし、TVのキャプチャ形式も多くはMPEGです。

      種類 ビットレート サイズ 特徴
      MPEG1 384k~4Mbps 160*120〜1920*1152 VHS並みの画質
      MPEG2 1M〜1000Mbps 320*240〜1920*1152 DVD,高品位TV
      MPEG3 実際にはMPEG1のレイヤー3と
      呼ばれる音の規格
      MPEG4 5k〜10Mbps 80*60〜320*240 小型端末向け、iPodやPSPなど

      MPEGは規格であり、使用するコーデックによりファイル形式が異なります。MPEG4の場合をまとめます。

      ISO MPEG4 .mp4 MPEG4/H.264 PSP,iPod など
      DivX .avi,.divx DivX PSPなど
      XviD .avi XViD DivXの拡張
      QuickTime .mov MPEG4 アップルのマルティメディア
      SD-Video .asf MPEG4 SDカード向け
      3GPP .3gp,3g2 MPEG4,H.263 3G携帯向け
      MS MPEG4 .avi,.asf MPEG4 MS社の独自企画

  2. テレビ番組のキャプチャ


    1. テレビ信号のキャプチャ

       日本のアナログテレビ信号はNTSC方式で、この信号をディジタル変換する装置をキャプチャと呼びます。VHSなどの録画装置からのキャプチャも同じです。小型のキャプチャ装置にはライタほどのサイズでUSB接続する「豆チュー」(カノープス)や、高画質(MPEG2)でキャプチャ可能なMTVX-HF(カノープス)などがります。
       キャプチャは多くの場合、MPEG1またはMPEG2の形式で記録されます。

    2. MPEGファイル編集

       MPEG1/2のファイルで不要部分を削除するには、フリーソフトの CutterMan が利用できます。CutterManの実行には、.NET FrameWork、DIrectX9.0が必要ですが、これはMS社のサイトからダウンロードできます。
       商用ソフトとしては、TMPGEnc(ペガシス社)が便利です。

  3. DVD


    1. DVDの規格とファイル

       映画などの記録にはDVDが利用されます。動画はMPEG2、音声は5.1チャンネルの規格です。DVDには、AUDIO_TSとVIDEO_TSフォルダがあります。AUDIO_TSはDVDオーディオのためのフォルダでビデオの場合なのもありません。VIDEO_TSフォルダのVTS_xx.VOB が動画ファイルになります。

    2. DVDビデオのバックアップ:DVD Decripter

       DVD Decripter(フリーソフト) を利用すると、DVDから必要なファイルを抜き出しHDにバックアップできます。FILEモードの場合ファイル単位で、IFOモードの場合chapter単位で、ISOモードの場合1ファイルで抜き出します。コピープロテクトがかかっている場合、DVDFAB Decriptor を利用すると抜き出し可能な場合があります。
       DVD Shrink では、圧縮がかけられますから、2層のDVDを1層のDVDにバックアップすることも可能です。

    3. DVD記録形式の変換

       FairUse Wizard LE を利用すると、DVDをAVIやDivX形式に変換してバックアップすることが可能です。AVIは編集には便利ですが、圧縮率の面ではDivXの方が優れています。

  4. ディジカメの動画ファイル


    1. ディジカメの動画ファイルの種類

      最近、小型のディジカメでも動画ファイルが撮影できるようになりました。撮影した動画ファイルの形式は、ディジカメの製作企業で異なります。
      企業 ファイル種類 拡張子 圧縮方式 特徴
      富士写真フイルム、キヤノン、
      カシオ、シャープ、リコー
      AVI avi MotionJPEG 圧縮率は低いが比較的高画質
      三洋電機、オリンパス、パナソニック、
      ニコン、ペンタックス
      QuickTime mov MotionJPEG 圧縮率は低いが比較的高画質
      ソニー MPEG mpg MPEG-1 圧縮率で画質をコントロール可
      http://kikuchisan.net/movie/ より引用

    2. 記憶容量

       CasioExilimの場合、標準(640*480)サイズで、30フレーム/秒のとき、分当たり15MBの記憶が必要です。高画質モード(HQ)の場合は、28MBになります。Panasonic DMC-FZ1の場合(movファイル)、1秒の記録で約1.2MBのサイズになるそうです。。

    3. Webで公開

      下記は、Webで対応可能なファイル形式です。aviやmovは圧縮が不十分なので、他の形式に変換するほうが良いでしょう。
      記録形式 内容 再生プレーヤ
      mpg Moving Picture Experts Group(MPEG)という団体が標準化した形式 WindowsMediaPlayer,
      QuickTimePlayer
      avi Microsoft社が開発した音声付きの動画形式(RIFF形式) WindowsMediaPlayer
      mov Apple社の QuickTime で用いられる形式 QuickTimePlayer()フリー
      wmv Microsoft社 の WindowsMediaPlayer で用いられる形式 WindowsMediaPlayer(標準)
      rm,ram RealNetworks社の RealPlayer で用いられる形式 RealPlayer(フリー)
      flv YouTubeで利用される FlvPlayer(フリー)

  5. 動画ファイルの変換


    1. MediaCoder

      記録形式の変換(MediaCoder)WEBで公開したり、携帯電話やiPODなどのPDAで利用したい、特定の形式しか扱えないツールで処理したい、場合記録形式を変換する必要があります。MediaCoder(フリーソフト)はMPEG4、FlashVideo、MoitonJpeg、を相互に変換できます。iPod やPDP などのPDAにも変換できます。
       ファイル一覧に、ビデオファイルをドラッグし、下側の「ビデオ」タグで出力ファイルの形式、「出力」タグでファイルの出力フォルダを指定し、ツールボックス 「Start」で変換を開始します。



      WindowsMedai (wmv)ファイルに変換すると、ファイルサイズを 1/5 程度に削減できます。wmv ファイルは Windows のメディアプレーヤで再生できます。

    2. Flashビデオへの変換

       FlashVideoは 動画サイトYouTube で利用されている形式で、wmv より2割ほど圧縮率が高くなります。ただし、再生には、FLVPlayer(フリーソフト) などが必要です。asflvEnc などで、FlashVideo に変換できます。入力ファイルと出力ファイル名を指定して、「実行ボタン」を押します。

       

  6. 動画ファイルの編集


    1. AVIOperator+

       編集機能で最低限必要な機能は、切り出しと複数ファイルの接続でしょう。AVIOperator(フリー)で動画抽出タブをクリックすると、下記のダイアログになります。「抽出範囲指定」で時間単位で取り出す範囲を指定すると、指定範囲の動画ファイル(AVI)を作成できます。抽出時間は、メディアプレーヤなどで決定します。



    2. PowerDirectorExpress

       ファイルの切り出しや結合をGUI操作で実現する有料ソフトです。下図のタイムトラックにビデオファイルをドロップします。ビデオトラック上のビデオを選択すると、ツールバーに「トリム(切り出し)」が表示されます。



       再生画面で、両端に「カッターの刃」が表示されます。刃をドラッグして、切り出したい範囲を指定します。範囲を指定して、トリムダイアログを閉じると、トリムが実行されます。



  7. 動画の組み込み


    1. パワーポイントに組み込む(1)

       「挿入」メニューの「ビデオとサウンド」>「ファイルからビデオ」 でファイル選択ダイアログが出ます。ビデオファイルを選択すると、暫くして「自動的に再生しますか」の問い合わせがあります。「いいえ」で応えると、先頭画像が表示されます。画像を選択し、右クリックし「オブジェクトの動作設定」を選択します。
      スライド実行時に画像をクリックすると、再生を開始します。マウスのクリックやマウス通過での動作を設定できます。また、「ビデオオブジェクトの編集」で、「再生オプション」が設定できます。「アニメーションの設定」では、複数のビデオを再生する順が指定できます。

    2. パワーポイントに組み込む(2)

       「オートシェイプ」の「動作設定ボタン」から「再生用ボタン」を選び、画面に登録します。ボタンを右クリックし、「ハイパーリンクを選択します」。「マウスのクリック」で、「ハイパーリンク」の参照ボタンで「その他ファイル」を選択し、ビデオファイルを指定します。
       実行時に登録したビデオファイルを再生するプログラム(通常、メディアプレーヤ)が現れ再生できます。この方が細かい再生制御が可能ですが、パワーポイントとは別のウインドウで再生されます。

    3. webに組み込む(wmf)

       webで利用するには、ファイルを wmf に変換しファイルを圧縮します。下のEMBEDタブで組み込むと、web のページに動画が表示されます。flvも高圧縮ですが、再生するには flv を再生する swf を組み込む必要があります。
          <EMBED src="ビデオファイル.wmv" type="v">


       <A href=ファイル名.wmv>    .. </A>
       で組み込むと、本文とは別のページで再生されます。