-
括弧式の否定は
^(A + B)のように、式や括弧の否定がある論理式の括弧をはずす方法を考えます。直感的には
^(A + B) = ^A + ^B ------(これは誤り)
と考えがちですが、これは誤りです。例えば、Aを1、Bを0としたとき左辺は ^(
1 + 0 ) = 0 ですが、右辺は ^1 + ^0 = 0 + 1 = 1 となります。
-
ド・モルガンの定理
論理式の最も重要な性質として、次のド・モルガン(De Morgan:人名)の定理を紹介します。否定のついた括弧をはずすには、このド・モルガンの定理を使います。括弧付の
^ の括弧をはずすと、論理和と論理積が入れ替わるという、一見とんでもないことがおこります。
^(A・B) = ^ A+^B
^(A+B) = ^A・^B
[証明1]
^(A・B) = ^
A+^B を証明します。
補元律より X・Y = 0 なら ^X = Y となります。X = A・B、Y =^ A + ^B として
(A・B)
・ (^A + ^B) = ( A・B・^A) + (A・B・^B) = 0
ですから、^(A・B) = (^A+^B)
となります。
[証明2:代入法]
A=1 なら 左辺は ^B、右辺は 0 + ^B
ですから成立します。
A=0 の場合、左辺は ^0 = 1、右辺は 1 + ^B = 1
となり、やはり、成立します。
この証明の方法を代入法と呼びます。
-
論理和と論理積は表と裏の関係
ド・モルガンの定理は論理和と論理積が独立ではなく、論理和は論理否定と論理積から計算できることを意味します。すなわち、ド・モルガンの公式の両辺の
論理否定 をとると
^(^(A・B)) = A ・ B = ^(^A + ^B)
となります。したがって、各項の論理否定をとってから論理和し、その結果を論理否定をすれば、結果は論理積と同じになります。
この性質は、論理演算の表からも確認できます。論理和はどちら一方が1のとき1になりますが、0を基本にすると、いずれも0のときだけ0となります。これは、0に関する論理積となります。
-
適用例
ド・モルガンの定理を用いて括弧をはずします。
^(A・B +B・^C) = ^(A・B)・^(B・^C) = (^A + ^B)・(^B + C)
= ^A .^B + ^A .C + ^B + ^B .C
-
問題4
次の 二つの式の( )をはずして、展開しなさい。
^(A + B + C)=
ヒント:x = A + B として、x + C を展開し、その後、x を展開します。
^(A + B・^C)=
注意:演算子の優先順位に注意して下さい。x = B ・ ^C として、まず、A +
x を展開します。