固有値、固有ベクトル
Aに対して、このような対角行列の要素λiを固有値、piを固有ベクトルと呼びます。

固有値、固有ベクトル
(その意味)

問題
時間tを考えて、
 x(t)=A x(t-1)
のとき、任意のx(0)から出発して、x(t)は発散しないか(安定であるか)?

に対し、固有値は -1,2,3 固有ベクトルは次のようになります。

対角化されたy(t)は解くことができますから、x(t)は次のようになります。

対角化
 x(t) = P y(t) なる関係で、y(t)に置き換えます。これは変数の変換に相当します。すると、x(t)=A x(t-1) は次のように置き換わります

簡単な場合
 x(t)=0.2 x(t-1)
なら、
 x(t)=0.2t x(0)
ですから、安定です。0.2が1以上なら発散します。

座標変換
A を座標変換と考えると、対角化された変換行列は、各方向に伸縮のみをする行列になります。したがって、変換行列Aに対し、適当な変数変換Pをすれば、伸縮のみをする変換行列に置き換えることができます。
 また、固有ベクトルにAを施しても、伸縮するだけの変換になります。

ここで、(P-1 A P ) が対角行列であれば、問題が解けます。Λを対角行列とすると、
 (P-1 A P ) = Λ ですから
 A (p1, p2, ,pn) = (p1,p2, ,pn) Λ
になります。

対角行列の場合
 Aが対角行列なら、簡単です。

 x1(t) = 5x1(t-1)
 x2(t) = -3x2(t-1)
 x3(t) = 0.8x3(t-1)
ですから、別々に解くことができます