回路基板の製作

  1. 基板、線材

    1. ケース

      回路を収納するケースを選定します。ここでは、185*65*20mm のアクリルケースを利用しました。このケースは、スイッチ付の単4電池2本のケースを収めることができます。モータやスイッチなど背の高い部品があるセットでは、高さ 25mm の少し大きなケースを利用しました。

        

    2. 基板

      基板自作する汎用基板はDIPタイプのICのピン間隔(0.1インチ、2.54mm)のものが主流です。ベタ穴の基板と、IC用のパタンが組み困れているもの、サイズもいろいろあります。実際に使用する場合、収容するケースや電源、コネクタなどを考慮して選択します。
      下図、左ガICパタン、右がベタパタンの基板です。



       汎用基板にも表裏配線可能な両面基板があります。高密度な実装をする場合有効ですが、初めての場合は、片側のみ配線可能な片面基板が便利です。
       ICなどは半田付けの熱で壊れやすいので、ICソケットを介して接続すると安全です。


    3. 線材

      左が、表面が絶縁されたポリウレタン銅線、右が錫メッキ線です。


  2. 回路の半田付け

    1. はじめに

      小型のケースに組み込むため回路を汎用基板を利用し、半田付けで接続しています。ここでは、半田付け基板の製作方法について紹介します。

    2. 汎用基板

       自作する汎用基板はDIPタイプのICのピン間隔(0.1インチ、2.54mm)のものが主流です。ベタ穴の基板と、IC用のパタンが組み困れているもの、サイズもいろいろあります。実際に使用する場合、収容するケースや電源、コネクタなどを考慮して選択します。
       汎用基板にも表裏配線可能な両面基板があります。高密度な実装をする場合有効ですが、初めての場合は片側のみ配線可能な片面基板が便利です。

    3. 部品配置

       基板が定まったら、部品を配置します。部品の配置により配線のし易さが大きく影響されます。配線の経路を考えながら配置を行います。半導体でピン数が多いものは、ソケットを利用します。

    4. 部品の半田付け

       配置が定まったら部品を半田付けします。ピン数の多いものは、とりあえず1ピンのみを半田づけします。LEDやコンデンサなど、基板から少し浮かして半田付けする場合、1ピンのみ半田付けして高さを確認し、その後他のピンを半田付けします。複数ピンの部品を半田付けしてしまうと、その部品を取り外すのは困難です。
       半田付けが終了したら、突き出したピンをニッパなどで切り取ります。半田付けの確認には 10倍のルーペを利用すると便利です。余った部品の足を利用する例もありますが、線が太くと半田付けがしにくくなります。
       半田付けをするには、まず、半田をつける部品の足と基板のランドを鏝であたためておき、そこに半田の線をちょっと押し込み、半田を流し込みます。暖める時間は数秒で、10秒を超えると半導体にダメジを与える心配があります。時間が短いと半田の流し込みが不足します。

    5. 配線

       配線作業は、部品の半田付けよりも経験が必要です。基本的には、配線する線材と基板の端子の双方に半田を流し込んでおき、両方をくっつけて暖めた後、追加の半田を流し込みます。手が3本あれば簡単に出来そうですが、慣れないうちは時間がかかると思います。
       下の写真は、比較的簡単な配線をした例です。配線の交差がありませんから、すべて錫メッキ線のみで配線しています。配線パタンはプリント配線に近い形になります。長い線は、空きのランド(部品用の穴)に半田付けして固定できます。



      下の配線は、やや高密度な配線で、配線が交差します。配線にはポリウレタン銅線(UEW)を使用しています。この線はそのままでは絶縁されていますが、半田付けをする熱で絶縁膜が壊れ半田付けが可能になります。しかし、やや高熱(400度くらい)で時間をかけてはんだ付けをしないと、半導通状態になってしまいます。なれない場合、絶縁被覆された単線(ラッピングワイヤ:PTFE)が便利です。線の太さは直径 0.2mm (AWGでは32番)くらいでしょうか。



    6. チェック

      配線の検査には、印刷物(写真)のチェックに利用される 10倍ルーペが便利です。これは底が焦点位置になっていますから、底を基板に密着するだけで拡大像を見ることができます。半田付けが簡単に目視で確認できます。



      配線のチェックには、導通チェック機能のあるテスタが便利です。抵抗が一定値以下の場合、ブザーで知らせてくれます。

    7. 接続コネクタ
       モータや液晶など内部の部品との接続には、ピンソケットと連結用ピンを利用しています。これは、必要なピン数に切り出すことができます。上のピンソケットはピンを抜き取り、ナイフで筋を入れて切り出すことができます。下の連結ピンは必要なピン数で折ることができます。

       

       

      ケースから外にケーブルを引き出す場合、右のピンバイスで2mm程度の穴をあけ、左のリーマで必要サイズまで穴を広げます。ピン数が少ない場合、コネクタにはステレオのピンジャックが便利です。RS232Cや電源線の引出しにはピンジャックを利用しています。



  3. 部品の取り外し

    1. 半田の吸い取り

      複数の足をもつ半田付けをした部品をとりはずすのは慣れた人でも手間のかかる作業です。比較的お勧めは、下図の半田吸い取り線です。これは、銅の編み線で、吸い取りたい端子にこの編み線の先端をつけ、上から半田鏝で熱すると半田が吸い取られます。半田を含んだ先端を切り取り、別の端子の半田を吸い取ります。片面基板の場合は、吸い取りが可能ですが、両面基板の場合は、ポンプ付の吸い取り工具でも利用しないと半田が取れません。部品面からニッパで部品の足を切り取り、ばらばらになった部品の足を抜き取ります(部品は利用できなくなります)。
       無理に部品を引っ張ると、基板のパタンを壊してしまいますから注意してください。