歪測定
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歪の計測
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出典
島田 義人 ひずみゲージを使った電子はかりの製作 トランジスタ技術 2003/9
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歪の測定
物体に圧力を加えると、微小な変形が発生します。ここでは、歪ゲージを用いてその微小変形を検出します。歪ゲージは、変形により抵抗値が変化することを利用します。薄いフィルムの上に、抵抗線をエッチング加工したものです。このフィルムを、測定対象に貼り付けて利用します。
図に用に、歪ゲージを貼り付け、外力による変形による抵抗変化を検出します。
ここでは、共和電業KFG-2-250-c1-11-L1M2R(@750円) を利用します。これはゲージ長2m、抵抗350Ω、単軸、ゲージ率2.1
のひずみゲージです。ここで、ゲージ率Kは、
ΔR/R = K(ΔL/L) で、長さの変化率に対する抵抗の変化率です。Lはゲージの長さ、ΔL
は外力による変化分で、素材により定まり 2 程度の値です。
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ブリッジ回路
抵抗値の変化は300Ωに対して、0.1Ω程度(1/1000)しかありませんです。そこで、ブリッジ回路を組んで変化分のみを取り出します。一般に、ブリッジの出力電圧は、
Vout = (Rb1Rb3- Rb2Rb4)Vs/((Rb1+Rb2)(Rb3+Rb4))
となります。
ブリッジ回路は、上下二つの抵抗の値は等しいとき、出力は0となります。図のように上下に2枚組んだ場合、中央の回路では引っ張りや温度変化による抵抗変化は、ブリッジでキャンセルされて、出力には現れません。曲げの力を加えると、一方は伸び、他方は縮むため、2倍の変化となって出力に現れます。すべての抵抗を
R 、抵抗変化をΔvとすると、出力は
2Δv/ R
となります。
同じ設定でも、下図のようにブリッジを組むと、板の引っ張りに対して、出力が現れます。
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測定回路
- 回路図
抵抗RB3,RB4は誤差の少ない抵抗が必要です。差動アンプの利得は、利得5Kのボリュームで調整しますが、5〜50倍です。
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回路製作
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計測実験
ゲージを2枚、プラスチック定規の端から10cm程度に瞬間接着剤で貼り付けます。定規の一端を机などに固定、VR1でゼロ点を調整します。重さ1g(1円硬貨)で、出力が 1mV
になるよう、VR2で感度(5〜50倍)を設定します。定規の先に小皿をつけて、1円効果を入れます。1円効果は約1gの重さです。枚数と出力は直線状に並びます。
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問題点
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グランドが揺れる
この回路研究室で作成しましたが、問題点が見つかりました。ブリッジから、第一段の差動増幅までは問題ないのですが、第2段の増幅にへんな動きがでます。回路をチェックすると、-電源から、中間のグランドの電圧が、センサーからの信号で揺れることがわかりました。
2段目の増幅回路は、E側の信号がグランド(0V)に接続されますが、これは非対称なので電源-から見て、グランドのレベルが揺れてしまうのです。非対称になったとき、グランドレベルを0にする機能はありません。そこで、電池の中間を取り出し、これを、仮想的グランド(H)に接続しました。これで、グランドの揺れは収まります。
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ゲージの接続が切れる
ゲージの接続線をセンサーにたるみがないまま、センサーと線を固定すると、接続対象の歪みで線が引かれ、断線してしまいました。変形が大きい場合、センサーの引き出し線に「たるみ」をつけて接続する必要があります。