計数(カウンタ)回路

  1. 計数回路

    1. D型FF素子

       FFはクロック信号のエッジ(変化)で、D信号の値を記憶する記憶素子です。記憶値はQに、その反転した値を^Qに出力します。

      CLR信号を0にすると、Qをクリア(0)とし、PRを0にすると、Qをプリセット(1)にします。

    2. 2進計数器の役割

      2進カウンタは入力となる信号のパルスの数を2進数で計数します。計数器は前の数に1を加算する特殊な演算器です。これまでの結果を記憶するための記憶機能が必要です。2進数の変化を調べてみます。
      4 2 1
      ---------
      0 0 0
      0 0 1
      0 1 0
      0 1 1
      1 0 0
      第一桁は前の値を反転しています(0から1、または、1から0に変化する)。2の桁は、1の桁が1から0に変化すると、反転することがわかります。また4の桁は、2の桁が1から0に変化すると、反転することがわかります。したがって、前の桁が 1>0 に変化すると、自分の値を反転すればよいことになります。
       これは、10進数では、前の桁が9から0に戻った場合、次の桁が1つ増えることに相当します。

    3. 3bit2進計数器

       計数回路は、D型FFを利用して次のように作成できます。値を反転するには ^Q を D に入力します。この状態で CLK にパルスを入ると、Q の値が反転します。Q が 1 から 0 に変化すると、^Q は 0 から 1 に変化します。したがって、前の段の ^Q を次の段の CK に接続すれば、桁上がりが行われるため計数器として動作します。

    4. タイムチャートと論理シミュレーション

      横軸に時間を、縦方向に各信号の論理値の変化を示した図をタイムチャート(時間図)といいます。論理シミュレータは、回路図と入力信号の変化から各信号の変化を調べ、タイムチャートを出力します。入力が変化してから、単位時間遅れて出力が変化しています。この時間は素子の動作時間に相当します。
       上から、FFのプリセット、reset、clk 信号でこれはシミュレータへの入力になります。qa,qb,qc が各FFの出力でシミュレーションした結果を表示しています。

    5. クリア・プリセット回路

      2進計数回路の場合、プリセットは不要なので信号を1に固定します。クリア信号は、計数器の状態を0にする場合利用します。

  2. 実験回路

    1. クロック回路

       ここでは、PIC(小型組み込みコンピュータ)を用いて、クロックを生成します。B1〜B7 端子はクロックを生成します。B6端子が1回/秒のパルス、B5はB6の、B4はB5の倍の速さのクロックを生成します。

      B0にスイッチを接続すると、スイッチを押すとA0に単発のパルスを生成します。これは、カウンタの初期化に利用します。

    2. 実験回路

       実験用の2進カウンタです。ICは 7474 を利用します。PRはH(1レベル)に固定します。CLRは押しボタンからの信号で計数値を初期化します。各桁のFFをLEDに接続し、値を確認します。

    3. 誤動作

       PRの信号をH(5V)に固定しないで、無接続の状態にしてみてください。計数動作がときどき失敗します。これは、ノイズによりFFがプリセットされてしまうからです。