昇圧コンバータ
- 昇圧型コンバータ
- 昇圧型コンバータとは
昇圧型コンバータは入力電圧より高い電圧を生成するのが目的です。簡単な回路ではありませんが、最近利用しやすいICが登場してきました。
- チャージポンプ型
- チャージポンプとは
チャージポンプは名前のごとく電子を送りこむ回路です。LTC3202はスイッチキャパシタ方式で、コンデンサを充電し、それを入力電圧に重ねることで、出力電圧を増加させます。キャパシタの切り替えを1.5MHzで行っています。
コンデンサの充電は、参照電圧と比較しながら行います。昇圧可能な電圧は2倍以下で、カタログでは1.5倍になっています。
- LTC3202の端子
KTC3202は入力電圧が2.7〜4.5Vで出力電圧は 125mA です。 LTC3202の構造と端子は以下のようです。
Vin |
4 |
入力 |
D1,D0 |
1,10 |
参照電圧設定 |
Vout |
3 |
出力 |
C1+,C1- |
8,7 |
昇圧コンデンサ |
C2+,C2- |
9,6 |
昇圧コンデンサ |
D1,D0 はディジタル端子で、参照電圧を以下のように切り替えます。0,0 では回路を停止します
D1 |
D0 |
設定 |
0 |
0 |
シャットダウン |
0 |
1 |
0.2V |
1 |
0 |
0.4V |
1 |
1 |
0.6V |
- 電流制御
電流制御では、以下のような回路になります。D1,D0を(1,1)に設定すると、参照電圧は0.6Vになります。この場合、電流を検出している左のLEDの電流を
Id とすると、Id*36=0.6 となるまで、Vout の電圧が増加します。電流の最大値は125mAまでです。
C1,C2 端子の電圧は極性が変化しますから、極性のないコンデンサが必要です。
- 電圧の設定
FB に分圧した電圧を接続することで、出力電圧を設定できます。下図の回路で、Vo が指定電圧になるよう、R1/R2 を設定します。R1+R2
は数Kから1Mオームの範囲で選択できます。
Vo = Vfb*(1+R1/R2)
LTC3202はピン間隔が1.57mでないため、通常の基板では実装できません。秋月電子からキットで実装した基板が提供されていますからこれを利用すると便利です。コンデンサも実装されているため、D1、D0
の設定とFBへの配線のみで利用できます。
- 負電圧DC-DCコンバータ
負電圧がほしい場合には、LTC1054が利用できます。
R2/R1 = Vout/1.21 + 1
で、R2/R1 が定まります。R1は10kΩ程度です。入力は 2.5V〜6V、出力は最大入力の 2.2倍 です。出力電流は100mA程度です。端子7は接続不要です。
入力が5Vのとき、-5Vを得るには、R1=12k、R2=67k となります。R1、R2 の接続がない場合、入力電圧の負電圧が出力されますが、最大 1.2V
の電圧降下があります。
- インダクタンス型 昇圧回路
- インダクタンス利用
2倍以上の 昇圧は、インダクタンス(コイル)の逆起電力を利用します。下図は MC34063 を用いたインバータ回路です。400μHのコイルを利用しています。3V
入力の場合、10V80mA、5V入力なら 12V200mA、24V80mA が可能です。
(秋月 DC-DCコンバータキットより)
下は、NJM2360 を用いた、同様の回路例です。