電池

  1. 乾電池

    1. 性質
      乾電池は雑音が少なく比較的良質な電源です。充電できるタイプとできないタイプがあります。乾電池は dry battery の意味で、「乾」は鉛充電池のように液体を利用していない意味だと思います。

    2. 乾電池の容量
       入手容易な単4型の電池とその容量(概算)を示したページがあります。単位は、mAH で、1000の場合、100mAで1時間電流を流す電気量があります。

       電池   容量(mAH)  適正負荷 電圧(V)
      単4マンガン 450 100 1.5
      単3マンガン赤 700 300 1.5
      単3マンガン黒 1000 300 1.5
      単3アルカリ 2000 1000 1.5
      単3ニッケルマンガン 6000
      006P(黒) 300 20 9V
      006Pアルカリ 500 50 9V
       http://home.s00.itscom.net/large/ELEC/batt-1/index.html より

    3. 放電特性
      下図は単3電池の20度の放電特性の例です。0.5分700mA、4.5分140mA、を繰り返した場合の特性です。Ni-MHは3Hで急激に電圧を落とします。アルカリは持続力はありますが、かなり電圧を落としますから、電圧が必要な場合は要注意です。
      http://homepage1.nifty.com/yamatomt/gps/gps6.htmlより

      同じ実験で、-20度の場合です。アルカリはかなり落ちますが、LiやNi-MHなどの2次電池は落ちません。


      006Pの放電特性(180Ω負荷、横軸時間)は以下のような情報があります。アルカリも急激に電圧が落ち込みます。赤がNiMH、黄色はアルカリ、青がマンガンです。電圧が必要な場合、NiMH型2次電池が適当です。


        (http://einst.hp.infoseek.co.jp/Battery/006P.htmlより)

    4. アルカリ電池
       アルカリ電池は容量は大きいのですが、電圧の低下が大きく、ディジタル機器のような急激な電流変化には対応できません。また、低温度ではりようできません。

    5. オキシライド乾電池
       「オキシ水酸化ニッケルなどを利用、従来のアルカリ電池の5割増の容量になった」とのことです。ただし、初期電圧が1.7Vに上がっているので、電圧調整機能がないディジタル機器や電球では注意が必要です。

  2. ボタン電池

    1. ボタン電池
       ボタン電池は薄型の電池で、リチウム、アルカリマンガン、酸化銀、空気亜鉛、などの構造があります。ボタン型の電池でCR-2032の場合、CR=二酸化マンガンリチウム電池、数字の2032の20は 直径20mm、32は厚さ3.2mmを意味します。



      CR 二酸化マンガンリチウム電池
      BR フッ化黒鉛リチウム電池
      LR アルカリ電池
      SR 酸化銀電池

      CR型電池の容量は以下のようです。
      CR2032 二酸化マンガンリチウム 200mAh
      CR1620 二酸化マンガンリチウム 68mAh
      CR1616 二酸化マンガンリチウム 50maH
      (http://shop.yumetenpo.jp/goods/goodsList.jsp?st=nexcell.co.jpより)

      放電特性は、比較的フラットで電圧を維持してくれます。下は、CR2025を15kΩ負荷で利用した場合で、常温で数年間保存しても性能は劣化は少ないようです。

      (http://www.sony.co.jp/Products/MicroBattery/cr/index.htmlより)

  3. 名前の付け方、サイズ

     JISでの一次電池の名前の付け方は次のようになります。

    <セル数><電気化学系記号><形状><サイズ>
    電気化学形記号は (L:アルカリ乾電池 S:酸化銀電池 P:空気亜鉛電池 C:二酸化マンガンリチウム電池)となります。形状を表すコードは R: 円周状 F: 平面状 S: 直方体状 です。ボタン電池の場合、サイズは直径と厚みを各2桁で表現する場合があります。


     http://www.maxell.co.jp/jpn/industrial/battery/knowledge/knowledge_02.html より

  4. 2次電池(充電可能電池)

    1. Nicd、
      正極にニッケル酸化物、負極の活物質にカドミウム化合物が用いられています。公称電圧は1.2V。安定した放電が連続してできることや、約500回程度の充電が可能なことなどから、家電を中心にさまざまな用途に利用されています。欠点としてメモリ効果が挙げられます。メモリ効果とは、完全に放電をしきらずに充電を繰り返し行った場合、充電をしても満充電できず、すぐに電池が使えなくなるという現象です。また、カドミウムが人間の体内に入ると代謝されず蓄積され、重篤な健康障害を引き起こすことが知られています。

    2. Nih充電池
      電池の代替型では、NiCd(ニッケルカドミウム) や NiH(ニッケル水素)などがあります。多くの充電池にはメモリー効果とよばれる注意が必要な現象があります。これは、完全に放電する前に繰り返し、継ぎ足しの充電を行うと、途中で充電を停止してしまう現象です。多くの場合、完全放電>充電 を繰り返すと、元の状態に戻すことができます。

      種類   容量(mAH)  電圧 
      NiH 単1 8500mAh 1.2
      NiH 単2 4500mAh 1.2
      Nicd 単3 500〜1000 1.2
      NiH 単3 1700〜2600 1.2
      エネループ 単3 2100 1.2
      NiH 単4 900 1.2
      NiH 009 200mAH 9.0

       NiH系の他の問題点は、自己放電が多いことです。半年使用しないで放置すると、半分ほど放電してしまいます。したがって、微小電流で1年以上使用する用途には不適当です。

    3. 新型NiMh
       最近、メモリー効果などを解消したNiMH系2次電池が開発されました(Sanyo、Panasonic)。充電回数(100回)や自己放電(半年で80%保持)も向上しています。

    4. リチウムイオン充電池
       電解質イオンとしてリチウムを用い、かつ金属状のリチウムを電池内に含まない充電池の総称です。当初負極にリチウム金属を用いましたがm発火があいつぎましたが、負極にグラファイトを用いて安定した充電池が開発されました。
       ただし、過充電のみでなく過放電でも、電極の変質に伴う事故が発生するため、利用には注意が必要です。また、一般に満充電状態で保存すると劣化が進行します。
       リチウム電池は、体積あるいは重量当たりのエネルギー密度に優れています。

      電池の種類 サイズ 重量 容量 公称電圧 体積エネルギー密度 重量エネルギー密度
      リチウムイオン 18650
      φ8.3mm*65mm
      44g 2.4Ah 3.7V 520Wh/L 201Wh/kg
      ニカド Dサイズ
      φ34mm*60mm
      152g 5.0Ah 1.2V 110Wh/L 39Wh/kg
      ニッケル水素 Dサイズ
      φ34mm*60mm
      178g 9.0Ah 1.2V 195Wh/L 61Wh/kg
      鉛蓄電池 182*127*202mm 9.5kg 32Ah 12V 82Wh/L 40Wh/kg
      ニカド 単三サイズ
      φ14mm*50mm
      24g 1.1Ah 1.2V 172Wh/L 55Wh/kg
      ニッケル水素 単三サイズ
      φ14mm*50mm
      30g 2.5Ah 1.2V 390Wh/L 100Wh/kg
      アルカリ乾電池 単三サイズ
      φ14mm*50mm
      23.5g 0.73Ah 1.15V 109Wh/L 36Wh/kg
      リチウム1次 CRV3 29*14.5*52mm 39g 3Ah 3.9V 412Wh/L 231Wh/kg
      (http://www.baysun.net/lithium/lithium03.html より)

      リチウム電池は、エネルギー密度や放電特性ではすぐれていますが、管理に注意が必要です。過充電、過放電は場合によっては致命的な損傷を与えます。また、満充電したまま、長期保存することも寿命を短くするようです。

  5. 充電

    1. 充電方式
       充電電流は容量Cを目安にします。1Cで充電すると1.2H(充電効率が80%の場合)の充電時間になります。NiH の場合、0.1〜0.2C で12Hから7H充電します。必要以上に充電を続けると過充電になり電池を傷めます。
       急速充電方式は、1/4C〜4C の低電流で充電します。100%充電すると、電圧が下がる(-ΔV効果)ことを利用して低電流充電を停止します。以後は、C/16 の自己放電を補う程度の充電を行います。これをトりクル充電と呼びます。
       リチウム充電池の場合、充電電流は1Cが多く、自己放電は少ないためトリクル充電は不要です。

    2. メモリー効果
       NiHやNiCd系2次電池では完全放電しないで充電を繰り返すと、その充電電圧を記憶してしまい、充電電圧で放電を停止してしまう現象が現れます。これをメモリ効果と呼びます。メモリ効果は部弱電流で放電を繰り返すことで、除去することができます。

    3. 充電回数
       リチウム電池でも充電回数は500回程度です。毎日継ぎ足し充電をすると、2年以内で寿命になります。予備の電池をもち頻繁な充電を避けると、長持ちします。