タイマー回路

  1. タイマー回路

    1. タイマー回路とは
       ここではタイマー回路は指定した時間ONとなる回路をいいます。正確な時間を計測するには、水晶発振回路を利用しますが、ここでは、抵抗とコンデンサを利用したタイマー用素子を紹介します。

    2. 時定数
       抵抗Rを通してコンデンサーCを充電(放電)するにはある程度の時間が必要です。ここではこの時間を利用します。時間は、k*R*C で計算できます。ここで k は回路で定まる定数です。

    3. タイマー素子
       ここでは、LMC555を利用したタイマー素子を紹介します。これは8ピンのCMOS型のDIP型ICです。8ピンに電源、1ピンに0V(電源グランド)を接続します。2ピンのTRG(トリガ)端子をLレベル(0V)にすると、3ピンのOUT端子にパルスが出力されます。パルス幅は外付けの抵抗とコンデンサで定まります。4ピンはリセット用端子で、Lレベルにすると初期状態に戻すことができます。5ピンは制御端子で、タイマー時間の調整ができますが、ここでは利用しません。
       電源電圧は、1.2V〜12Vの範囲で利用できます。OUT端子の出力は5Vで8mA、12Vで50mAまで利用できます。利用できる時間は最大 100S(秒)程度です(10MΩ、10μF)。



       CMOS型でない 555 もあります。この場合、電源電圧は、4.5V 以上で端子の入力抵抗も低くなります(TTL動作)。

  2. 回路例

    1. 回路例
       ボタンスイッチを押すと、TRGの立下りでOUT端子がHレベル(電源電圧)になります。R2とC1で定まる時間T1が経過するとLレベル(0V)に戻ります。T1は次の式で計算できます。

       T1 = 1.1*R2*C1

      R2=100kΩ、C1=10μF の場合、T1=1.1秒 になります。ただし、この時間は部品の誤差や回路の雑音で2割程度変動する可能性があります。抵抗は100k、コンデンサは10μFまで利用できます。


      パルス生成中に、TRG入力を加えても無視されます。

    2. 発振回路
       LMC555は、TH端子をTRG端子に戻すことで、発振回路としても利用できます。下図で、発振のHレベルは

        Tw = 0.7*C1(R1+R2)

      Lレベルが 0.7*C1*R2 になります。この回路では、発振のDutyを50%にすることはできません。



  3. 74シリーズのタイマIC

    1. 74HC4538
       74HCシリーズにタイマーICがあります。これはTTLシリーズにはなく、HC独自のICです。74HC4538はタイマー機能が2回路組み込まれています。1Xは回路1の端子、2xは回路2の端子です。トリガは2系統あり、A端子では立ち上がりmB端子では立下り、でパルスを発生します。CDはLレベルでリセットしますから、Hレベルに固定します。Dxは普通の値用の場合、省略できます。

       
       



      出力端子Qの最大電流は 4mA 程度ですから、大きな負荷に接続する場合はトランジスタなどを利用する必要があります。片側の回路しか利用しない場合、A,B,CD の入力はLレベルに固定する必要があります。

    2. TTLシリーズ
       74LSなどのTTLシリーズを利用する場合、74LS123や74LS121などが利用できます。