特殊ゲート回路


  1. シュミット入力

    1. 必要性
       論理信号は、出力するレベルと入力するレベルに差があるため、入力信号に混入する雑音に耐性があります。たとえば、HC型では、出力がH(1)のとき、4.3V以上の電圧を出します。入力では3.5V以上をHと判断しますから、1V までの雑音が信号に混入しても間違えることはありません。
       問題なのは、HC以外のたとえばスイッチの信号を入力する場合です。ディジタル回路では、HとLを区別する閾値のレベルがあります。この閾値(HとLの境界)付近で雑音が入ると、正しい、識別ができません。
       たとえば、LからHへの変化の回数を調べているとします。HとLの境界で雑音が混入すると、もとは1回の変化が複数回の変化になってしまいます。

    2. シュミット・トリガー入力
       そこで、入力回路にシュミット・トリガーの機能を組み込みます。これは、LからHになるときの閾値とHからLへの閾値を別のレベルとし、一度LからHになると HからLに変化すると判断する境界レベルは、LからHのレベル境界レベル(VH)より低くします。一度Hになると、Lに戻るにはVL以下に下がる必要があります。VH-VL を雑音レベルより大きくすれば、誤動作を防ぐことができます。
       この手法により、境界付近のノイズに対する耐性が大幅に向上します。

    3. シュミット型入力素子
       シュミット型入力を持つ代表的なTTL素子は7414です。素子の中にある2重線のマークがシュミット入力であることを示します。



      シュミット回路の詳細図は次のようです。第一段のトランジスタのエミッタの抵抗が次段のエミッタと共通になりフィードバックを構成しています。


      シュミット入力となる素子は他に、7413(4入力NAND)、74132(2入力NAND)があります。

  2. トライステート(TS)出力

    1. 出力信号線の共有
       TTL出力では、1本の信号線に複数の出力を接続できません。一方の出力がHで他方の出力がLの場合、Hの出力端子からLの出力端子に許容量以上の電流が流れるからです。しかし、複数の装置が共通の信号線を共有できないと、各装置ごとに別の接続信号が必要になってしまいます。

    2. トライステート出力
       そこで、共有信号に出力するには、H,L以外に電気的に「無接続」の出力ができる出力回路が考えだされました。これをトライステート(3値状態)出力回路といいます。トライステート素子は、出力を「生かす」か「殺す」かを定める信号線En(イネーブル)を追加します。EnがHのときは、通常の出力が可能ですが、EnがLのとき、出力はHでもLでもない第3の状態に移ります。
       トライステート素子の例を示します。トライステート出力のシンボルは、制御線が上または下から入ります。



  3. オープンコレクタ(OC)出力

    1. オープンコレクタ出力
       オープンコレクタは、出力素子のコレクタがそのまま出力され、+の電源回路からオープンされています。したがって、出力はグランドには引かれますが、+がわには接続されません。このため、複数のオープンコレクタ出力を同じ信号に接続しても、問題は起こりません。ただし、出力を + 側にするには、抵抗を外付けする必要があります。



    2. 素子の例
       オープンコレクタの例が7406です。NOT素子と同じピン配置です。この素子の出力の耐電圧は30V、電流も40mAまで流せます。