LEDとスイッチ回路

  1. LED点灯回路

    1. 発光ダイオード(LED)

       電圧や電流は目には見えません。電球、蛍光灯、などを発光させると目で見ることができます。電子回路の世界では、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と呼ばれる半導体が発光素子としてよく利用されます。これは、数ミリA[アンペア]の電流を流すと発光し、寿命が長い、熱くならない、などの特徴があります。下の画像が発光ダイオードです。赤色の他に、緑、黄、青、色などもあります。
       下図、左がLEDの写真、右が回路図のシンボルです。LED素子の長い方の線に電源の+、短い方に -  を接続すると順方向になり電流が流れます。シンボルでは、左から右に電流を流します(中央部が矢印になっています)。
        

    2. LEDの特性

       LEDはダイオードと呼ばれる半導体の1種です。ダイオードには方向性があり、特定の方向(順方向)に一定以上の電流(5mA程度)を流すと発光します。ただし、許容値以上の電流を流すと、半導体の温度が上がり壊れてしまいます。
       ただし、dV(約1.6〜1.8)ボルト以下の小さな電圧を掛けても電流は流れません。一定以上の電圧(dV)をかけると、急に電流が流れます。したがって、乾電池1個の電圧では点灯しません。
       
    3. LEDの回路

       5Vの直流電源に抵抗素子とLEDを直列に接続します(右の回路図)。電源の電圧を上げ、dV (赤色LEDの場合、約1.8V)以上になると、電流が流れるようになります(下図左のグラフ)。数mA以上の電流が流れると発光が確認できます。電源の電圧をV、抵抗の値をR,電流の強さをIとすると、
       V = dV + R * I 
       の関係があります。dVは発光ダイオードにより定まる固定値です(赤は低く青色では2.4V以上必要です)。dV、V、I、が定まれば、抵抗Rを計算できます。逆に PV、R、I、が定まれば、dVの値を計算できます。下は、LEDの電圧と電流の関係です。
        

    4. テスタによる抵抗測定

       発光ダイオードは片方しか電流が流れませんから、逆方向の抵抗は非常に大きくなります。しかし、実際に(通常の)テスタで測定すると、両方向とも大きな抵抗になります。LEDには、順方向にdV(約1.8V)程度の電圧をかけないと、電流が流れません。テスタは抵抗を測定するとき内蔵された電池を利用しますが、この電圧は低いので、電流が流れません。したがって、大きな抵抗になってしまいます。
       ダイオードの順方向の抵抗を計測する特殊なテスタもあります。

  2. スイッチ


     
    1. スイッチ素子

      下図、小型の押しボタン型スイッチの写真、右がスイッチの記号(シンボル)です。このスイッチは押しボタン型スイッチで、スイッチを押すと側面の二つの接点(A-B または CーD)が導通します(同じ側面に出ている二つの端子(A、C および B,D)は内部で接続されています)。ボタンを離すと左右の端子(A,C-B,D)は絶縁されます。
          

    2. スイッチ回路

       下図のように、LEDの点灯回路にスイッチを入れます。スイッチがオフのときは、LEDは点灯しません。スイッチがオンのときは、LEDは点灯します。ディジタル回路では、スイッチの役割を半導体が行います。半導体のオン/オフでLEDは点滅し、見えない半導体の状態が「見る」ことができます。


  3. トランジスタ素子


    1. トランジスタ

      (バイポーラ型)トランジスタは、E(エミッタ)、C(コレクタ)、B(ベース) の3端子から構成されます。ここでは、型番 2SC1815 のトランジスタを利用します。B からEに電流を流さないと、C と E 間の抵抗は大きくなります。この状態をオフ状態といいます。B(ベース端子) から E(エミッタ端子) に、数mA程度の電流を流すと C から E にも電流が流れるようになります(C-E間の抵抗が小さくなります)。この状態をオン状態といいます。
          

    2. トランジスタによるLED点灯回路

       一般のディジタル回路では、LED1個程度の電流しか流すことができません。そこで、まず、小さな電流でトランジスタのB-E間に電流を流し、トランジスタの C-E 間をオンにし、電源-C に接続した部品に大きな電流を流します。
       これで、高輝度大電流のLEDも点燈可能になります。B-E間の電流は 1mA 程度ですから、通常のディジタルICで直接駆動できます。大型トランジスタを利用すれば、100W以上の大電力も接続できます。


  4. 実験


    1. LEDの発光電圧の計測

       電源に抵抗とLEDを接続します。電圧が小さい(1V以下)のとき、電流は流れません。2V以上の電圧をかけると、電流が流れLEDが発光します。このときのLEDの両端の電圧を測るとdVを知ることができます。抵抗の値Rを計測すれば
           V = dV + R * I 
      から、流れる電流を計算できます。

    2. スイッチによる点滅回路

       スイッチでLEDを点滅する回路を制作します。下図の回路で、スイッチをオンにするとLEDに電流が流れ点灯し、オフにすると消灯します。
       下の図のようにスイッチを差し込みます。電源の+(赤色)を上の電源バーに接続し、電源の - を下側の電源バーに接続します。上下の電源バーの穴は内部で左右方向に接続されています。
       次に 上の電圧バー>抵抗>ダイオード(長い端子)>発光ダイオード(短い端子)>
       スイッチ右上端子>スイッチ右下端子>電源- の順に接続します。


      抵抗の値
      発光ダイオードを点灯させる電流は10mA(ミリアンペア)程度ですから、電圧を5Vとすると抵抗値は300-400オームとなります。実験では330オームの抵抗を利用します。

    3. トランジスタを利用した点滅回路

      トランジスタを利用した点滅回路を制作し、その動作を確認してください。ボタンを押すとLEDが点燈し離すと消えます。スイッチを押すと、トランジスタのB(ベース)に電圧がかかり、BからE(エミッタ)に電流が流れます。これが引き金になり、トランジスタのC(コレクタ)からEに電流が流れ、これでLEDが発光します。C(コレクタ)からEに流れる電流は200mAまで可能です。ディジタルICの出力端子は10mA程度が限度です。
      スイッチ回路図から配線パタンへの変換にも慣れてください。
       

  5. アンケート


     (1)dVの値をマークしてください。
      1:1.4~1.6V 2: 1.6~1.8  3:1.8~2.0 4:2.0以上
     (2)スイッチ回路は理解できましたか
      1:理解できた  2: だいたい理解した  3:よくわからん
     (3)スイッチ回路は実験できましたか
      1:回路ができない 2:回路はできたが動作しない 3:動作した
     (4)スイッチ回路は理解できましたか
      1:理解できた  2: だいたい理解した  3:よくわからん
     (5)スイッチ回路は実験できましたか
      1:回路ができない 2:回路はできたが動作しない 3:動作した