発振回路

  1. パルス発振回路
    1. 発振回路
      周期的に同じ波形を繰り返す回路を発振回路と呼びます。

    2. 無安定マルティバイブレータ
      下図は無安定(astable)マルティバイブレータと呼ばれるパルス発振回路です。
       電源を投入すると、R1、R2を通してC1,C2が充電されます。同時に、Q1,Q2のCE間が導通し、コレクタの電圧が下がります。これで、R2、R4を通してC1,C2の充電が始まります。C1の方が容量が小さいので、Q1のB電圧が早く立ち上がり、Q1のコレクタが0V側に下がります。これで、Q2のBは負に追い込まれCの電圧が上がります。すると、R2はC1への充電が不要となり、Q1へのベース電流が増えます。これで、Q1がオン、Q2はオフ状態になります。

       Q1がオンになると、R4からC2への充電が進み、次第にQ2のBの電位をあげます。Q2がオンになると、R2はC1への充電が必要になり、Q1のBは低電位となり、Q1はオフ状態に追い込まれます。この状態は、R2によるC1への充電が進み、Q1のBE間に再び電流が流れるまで、継続します。





      Q1のベースが立ち上がるまでの時間は、0.7・C1・R2 です。逆にQ2のベースが立ちあがる時間は ln2・C2・R3 となります。

      BE間保護ダイオード
       相手のトランジスタがオンになると、Bの電位は負になります。電源電圧と同じ負電圧がかかりますから、Q1,Q2のエミッターグランド間にダイオードを入れないと、トランジスタのBE間が破壊する恐れがあります。

    3. OPアンプによる無安定
       以下はopアンプによる無安定マルティバイブレータです。出力は飽和(電源)電圧まであがります。+に飽和した場合、R1によりC1が充電され、R2,R3で定まる電圧を越えると、出力は-の飽和電圧まで下がります。発振周期は

        2C1・R1・ln ( (R1+R2)/R1)

      です。ln は自然対数です。

      以下はシミュレーション波形です。飽和電圧を利用しますから、理想opアンプは利用できません(出力が∞になります)。OPの-入力に接続する IC 端子は初期条件の設定用で、一瞬入力を +1V に設定します。これをしないと、入力が0で安定するため、発振を開始しません。