小信号増幅回路
- 目的
数mV程度の微弱な信号を、数V程度の信号まで増幅し、ディジタルサンプリングや電力増幅回路に渡し、スピーカで音だしをする、等をするのが目的です。
- 小信号の扱い
- 小信号
ここでは、数mVから十mV程度の振幅で、数十から100KHz程度の周波数を扱います。これ以上小さな信号は微弱信号として扱われます。また、100KHz以上の周波数は広帯域増幅回路、低周波数の場合、DCレベルの増幅回路が必要です。
- コンデンサによる分離
小信号は、コンデンサにより直流(DC)と分離あるいは混合が可能です。
- JFETによる増幅回路
- 増幅回路
JFETによる小信号増幅回路を紹介します。まず、入力信号の変化分 vi だけを考えます。入力変化はコンデンサCiを通してGとGNDの間にかかります。ここで、FETのG-S間電圧が一定とすると、D-S間の電流変化idsは
ids= vi / Rs
この変化は、Rd を通して出力変化v0となります。
vo = xo / Rd
したがって、電圧増幅度 Av は
Av = Rd / Rs
となります。この回路の場合、6.2/2 ですから 約3倍 になります。
- バイアス回路
増幅回路が機能するには、入力信号の変化に応じて出力が変化するよう、動作条件を設定する必要があります。この回路の場合、G電圧がピンチオフ電圧以下になると、電流が流れません。また、G電圧が0以上になると、Gに順方向電圧がかかりG電流が流れてしまいます。
ここでは、動作条件として Ids = 1mA とします(多くの接合FETのIdsの最大値は数mA程度で、2SK184GRの場合、2〜6mAです)。また、温度安定を考えると、Vsとして2V程度ほしいので、Rs=2K
となります。増幅度を3にすると、Rd=6K となります。
Idsを1mAとすると、Vgsは -0.4〜0.1V ですから、中央値として 0.25V とします。すると、
Vg = 2-0.25 = 1.75
となります。電源電圧を15Vとすると、Vg を1.75にするため、R1/R2 が定まります。ここでは、R2=150K、R2=20K
とします。
- コンデンサ
交流信号に対する入力抵抗は R1とR2の並列値ですから。17.6Kとなります。コンデンサC1を10μとすると、C1によるカットオフ周波数 fc は、
fc =1/(2π・C・R)
ですから、約1Hzとなります。