小信号増幅回路

  1. 目的
     数mV程度の微弱な信号を、数V程度の信号まで増幅し、ディジタルサンプリングや電力増幅回路に渡し、スピーカで音だしをする、等をするのが目的です。

  2. 小信号の扱い
    1. 小信号
      ここでは、数mVから十mV程度の振幅で、数十から100KHz程度の周波数を扱います。これ以上小さな信号は微弱信号として扱われます。また、100KHz以上の周波数は広帯域増幅回路、低周波数の場合、DCレベルの増幅回路が必要です。

    2. コンデンサによる分離
       小信号は、コンデンサにより直流(DC)と分離あるいは混合が可能です。

  3. バイポーラによる増幅回路
     
    1. 増幅回路
       Ciで信号をカップリングし、ベースに導きます。ベースには予め、最小と最大のベース電流の半分程度の電流を流しておきます(これをバイアス回路といいます)。
       信号がベース電流を変化させ、これがコレクタ電流の変化に増幅され、Rcを通して出力を取り出します。



       図のバイアス回路はVCCから、ベース抵抗を通して固定の電流を流し込む方式です。簡単ですが、温度変化などによるベースやコレクタ電流の変化に対応できないため、「熱暴走」を引き起こす心配があります。

    2. フィードバック付きバイアス回路
       下図は、エミッタ抵抗Reを利用した、フィードバック機能付きバイアス回路です。コレクタ電流が増加すると、Reを通してエミッタ電圧が増加するため、B-E間の電圧が減少するため、負のフィードバックがかかります。Ceの目的は、負のフィードバックが信号成分に及ばないよう、信号をバイパスするためです。



    3. コンデンサ
       交流信号に対する入力抵抗は R1とR2の並列値ですから。17.6Kとなります。コンデンサC1を10μとすると、C1によるカットオフ周波数 fc は、
       fc =1/(2π・C・R)
      となります。